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JakeLahbg

“まるで建築物のようだ”
初めてJakeLahのテントを見たとき、多くの人がそう感じるはずだ。 独創的なフレームワーク。 美しく張り出したライン。 そして、空間そのものをデザインしたような存在感。
その背景にいるのは、世界的ポールメーカー「DAC」の創業者、ラ・ジェゴン氏。
今回は、JakeLah誕生の背景と、その思想について話を聞いた。

骨格を知り尽くした男がつくる、究極のテント

究極のテント

ラ・ジェゴン氏が率いるDACは、世界中のアウトドアブランドを支えてきた世界トップクラスのポールメーカー。いわば“テントの骨格”をつくり続けてきた会社であり、その技術は数多くの名作テントに採用されている。

さらに、軽量チェアの代名詞として知られるHelinoxも、もともとはDACから生まれたブランド。ラ・ジェゴン氏は長年にわたり、それらのプロダクトを通じてアウトドアギアの構造と向き合い続けてきた人物だ。

そんな彼が、自らの理想を形にするために立ち上げたのが「JakeLah(ジェイクラ)」。その最大の特徴は、既存の常識にとらわれない自由な構造設計にある。

ポール

一般的なテントブランドが既存のポールに合わせて設計するのに対し、JakeLahは理想の空間から逆算し、必要であればポールから新たに開発する。そのアプローチは、世界中のテント構造を支えてきた人物だからこそ可能なものだ。

複雑に交差する大胆な骨格、圧倒的な空間効率、そして軍幕を思わせる無骨な佇まい。その独創的なプロダクトは、DACの技術と長年追求してきた空間設計の思想が融合することで生まれている。

ラ・ジェゴン氏

Profile

世界的なテントデザイナーとしても知られるラ・ジェゴン氏。 1988年にDAC(Dongah Aluminum Corp.)を設立し、有名アウトドアブランドのテント向けアルミポールで、世界シェア90%以上を誇る企業へと成長させる。 2009年には息子のヤン・ラ氏とともにHelinoxを創設。近年は自身の英語名を冠したテントブランド「JakeLah」を主宰し、日本でも本格的な展開を始めている。

DAC創業者 ラ・ジェゴン氏が語る、JakeLahという挑戦

DACの創業者であるラ・ジェゴン氏は、なぜ自らの名を冠したブランド「JakeLah」を立ち上げたのか。
そこには、新しいテントをつくりたいという以上に、“新しい空間のあり方”を模索する想いがあると言う。

JakeLah J.crown 5.0
bg

── DACとして長年、世界中のテントブランドを支えてきました。
そのなかで、なぜご自身のブランドを立ち上げようと?

DACやHelinoxはすでに確立されたブランドであり、多くのユーザーの期待を背負っています。その規模になると、自由な発想を形にすることは簡単ではありません。

一方で私はまだ試してみたいことがたくさんあり、ユーザーとももっとコミュニケーションを取りたいと考えていました。

そこで立ち上げたのがJakeLahです。既存ブランドの枠にとらわれず、自分のアイデアを形にするための場所です。だからブランドというより、ユーザーと直接つながれる“小さな工房”のような存在だと思っていただければうれしいです。

もちろんJakeLahはDACやHelinoxと切り離された存在ではありません。これまで培ってきた経験や発想は、プロダクトの空間設計にも自然と息づいています。

bg

── JakeLahを始めるにあたって、
最初に実現したかったことは?

JakeLahが目指しているのは、「都市と自然が融合した新しい空間のあり方」です。事業としてはリスクのある挑戦ですが、アウトドアに慣れていない人でも気軽に自然に触れられる環境をつくりたいと思っています。

だからまずは、自分が思い描くプロダクトを形にし、人々がどのように使うのかを見ながら理想へ近づけていきたいのです。

チェアやテーブル、照明、大型シェルターといったプロダクトを通じて、都市やその近郊でも自然と心地よくつながれる新しい空間を提案していきたいと考えています。

bg

── 長年テントと向き合う中で、既存のテントに対してどのような思いを抱いてきましたか?

既存のテントに「限界」を感じることはあっても、「違和感」を抱いたことはほとんどありません。それぞれのブランドが市場やユーザーの期待に応えながら製品をつくっていることを理解しているからです。

一方で、設計者として「もっと良くできるのではないか」という思いは常にあります。

ただ、テントづくりは芸術ではなく、実際に使われ受け入れられるものでなければなりません。だから私は、ただ革新的であることを目指しているわけではありません。既存のテントの長所を活かしながら、新しい利便性を一つでも加えられないかを考え続けています。

bg

── JakeLahのテントには、ほかとは異なる独特の空間設計を感じます。設計の原点にある考え方とは?

私はテントを「道具」ではなく、「空間」として捉えています。実は大学時代に老子の『道徳経』を学んだ際、教授から「器で最も大切なのは形ではなく、その中にある“空白の空間”だ」と教わりました。その言葉は今でも強く印象に残っています。

それ以来、テントも単なる構造物ではなく、人が時間を過ごすための空間として考えるようになりました。だから設計するときも、素材やフレームではなく、そこで人がどんな時間を過ごせるのかという体験そのものをまず考えています。

bg

── これからのアウトドア空間はどのように変化していくのでしょうか?

“身近な趣味”へと変わっていくと思います。また、テントの役割も、単に眠るための空間から、食事や団らんを楽しむ「生活空間」へと発展してきました。これからは、その空間で体験がより重要になるでしょう。

例えばスノーピークは、屋外でも本格的に料理を楽しめるキッチン製品を提案することで、「外で快適に料理をする」という文化を生み出しました。それによってアウトドア体験の幅は大きく広がったのだと思います。

このように新たな提案が加わることで、アウトドア空間の価値はさらに発展していくはずです。私は、自然の心地よさと日常の快適さを両立できる空間が、これからのアウトドアのひとつの形になると考えています。

建築のように張る。JakeLahが描く、新しい空間

JakeLahのテントには、建築のような構造美が宿っている。そこには、人が過ごす時間まで見据えて設計された空間がある。 発想の根底にあるのは、ラ・ジェゴン氏が長年追い求めてきた“空間のあり方”だ。その思想の源流に迫る。

J.crown 5.0

── 多くの人が「普通のテントと何かが違う」と感じます。その違いは、どのような設計思想から生まれているのでしょうか?

私はすでに市場にあるテントと同じものをつくって競争したいとは考えていません。失敗を重ねながらでも、ユーザーに新しい利便性を提案したい。

その探求欲こそが、JakeLahらしい雰囲気を感じさせる要因の一つかもしれませんね。

それにテントの設計では、美しさだけでなく、強度や軽さ、空間性、出入りのしやすさ、通気性、価格など、さまざまな要素のバランスが求められます。

だから私は、既存テントの優れた部分を残しながら、そこに新しい価値を一つでも加えられないかを常に考えています。

立体的で曲線的なフレーム

── 立体的で曲線的なフレームが特徴的ですが、あえて外側に露出させた構造には、どのような思想があるのでしょうか?

JakeLahのプロダクトを「立体的で曲線的なフレーム」と表現していただけるのは、とてもうれしいですね。ただ、私自身は特別な造形を目指しているわけではありません。

ポールを外側に露出させているのは、構造的な合理性を重視しているからです。フライシートでポールを覆う方式には解決しにくい課題があるため、ポール本来の性能を活かせる外部フレーム構造を選んでいます。

DACポール

──大型シェルター「J.crown 5.0」は、完成度が非常に高い印象を受けます。この大空間の実現には、DACポールの開発経験も大きく関係しているのでしょうか?

大型シェルターを考える大きな転機になったのは、Helinox Chair Oneでした。

このチェアの登場によって、アウトドアは地面に座る「座位生活」から、チェアやテーブルを使う「立位生活」へと変化し、より大きな空間が求められるようになったのです。

DACポールはもともと構造上の課題を解決するために開発されてきました。多くのブランドが既存のポールに合わせて構造を考えるのに対し、私は構造に合わせてポールそのものを開発できます。DACの技術と開発環境があるからこそ可能な、大きな強みだと思っています。

──「J.crown 5.0」には居心地の良さも感じます。こうした空間はどのような発想から生まれたのでしょうか?

多くのドームテントは壁面が大きく傾いているので、床面積の割に内部が狭く感じられます。しかしJ.crown 5.0は壁面をできるだけ垂直に立ち上げて使える空間を広く確保。圧迫感も抑えています。

立位生活では、床のない大空間の方が合理的です。家具を自由に配置でき、床生地を傷める心配もありません。くつろぐ場所と眠る場所を両立するスタイルを提案しています。

J.x 2.5

──「J.x 2.5」や「J.tunnel」には、無骨さとハイテク感が共存しているように感じます。こうした共通点は意識していますか?

その二つのテントに共通点を見いだされるのはおもしろいですね。でも私自身は、特に関連性を意識しているわけではありません。

J.X 2.5は、テントとタープの機能を組み合わせる発想から生まれました。内部と外部の境界を自由につなぎ、2張りを連結すれば8m近い大空間として使うこともできます。

一方のJ.tunnelは、自立式トンネルテントを追求したモデルです。各パーツを接続・分離できるモジュール構造によって、拡張性や自由度を高めています。

どちらも「無骨さとハイテク感が共存している」と感じていただけたのだとしたら、それは構造のバランスと、素材が持つ機能性を突き詰めた結果なのかもしれませんね。

JakeLahのテント

──JakeLahのテントを「建築的」と表現する人も多くいます。天井高や視線の抜けなど、独特の開放感はどのように意識していますか?

私は昔からテントを建築的な視点で考えてきました。

テントは単なる道具ではなく、時間を過ごすための空間であり、自ら建てて解体する移動式の住居です。だからこそ設計では、長い歴史の中で培われた建築の知恵や考え方を取り入れることを意識しています。

また、構造を研究しているとおもしろい発見もあります。

外から見ると大きく見えるのに中は狭く感じる構造もあれば、その逆にコンパクトに見えて中に入ると驚くほど開放的に感じる構造もあります。私が目指しているのは後者です。どうすれば広く心地よく感じられる空間をつくれるのか。その答えを常に考え続けています。

フレーム構造が生む、4つの空間体験

JakeLahの魅力は、独創的なフレーム構造だけではない。その構造が生み出す空間体験こそがこのブランドの本質だ。
ここでは、hinataストアで取り扱う4つのモデルから、それぞれの個性を見ていこう。

J.x 2.5建築的シルエットを楽しむ、
A型テント

J.x 2.5

テントとタープ、それぞれの長所をひとつの構造に融合することを目指して開発されたJ.x 2.5。

特徴的なA型フレームはデザインのためではなく、垂直に近い壁面と高い空間効率のためのものだ。

頂点にヒンジ構造を採用することで角度を自由に調整でき、半分を持ち上げれば開放的なタープとして、下ろせば十分な居住性を備えたテントとして機能する。

また、入口を横に向けて設営することで本来の魅力を発揮するのも魅力だ。開かれた空間の先には自然が大きく広がり、A型テントの新しい空間体験を生み出してくれる。

サイズ

幅250×高さ250×奥行160cm

収納時サイズ

幅56×直径23cm

ポール

DAC DA17 14.5mm (メインポール)、16mm (アップライトポール)

生地

75D P/R WR PU/Silicone、sand/Mesh-75D Poly Square mesh 60

重量

6,800g

カラー

Sand、Black

価格

99,000

J.tunnel極限まで美しく再構築した、
トンネル型

J.tunnel

トンネルテントの長所を残しながら、その欠点を見直すことから生まれたひと張り。

自立構造を採用することで、従来のトンネル型では難しかった垂直に近いドア形状を実現。出入りのしやすさと空間効率を高めながら、すっきりとしたシルエットを描き出している。

さらに、モジュール構造によって空間を自由に拡張・構成できるのも特徴だ。必要な機能だけを組み合わせ、短くも長くも使える柔軟性を備えている。

構造の合理性と空間の自由度。その両方を追求することで生まれた、JakeLahならではのトンネルテントである。

サイズ

幅300×高さ190×奥行148cm

収納時サイズ

幅60×高さ26×奥行27cm

ポール

DAC PL 13.55/ Pf 14mm

生地

75D PR PU 2000mm SILICONE

重量

7,270g

カラー

Sand、Black

価格

132,000

J.crown 5.0圧倒的な空間力で、
“滞在”を特別にするシェルター

J.crown 5.0

ドーム構造が持つ可能性を追求して生まれた大型シェルター。

特徴的なフレームワークは竹籠の構造から着想を得ており、複数のフープを組み合わせることで、建築のような立体感と滑らかなシルエットを実現している。

一般的なドームテントが抱える空間効率や出入口の課題に対し、壁面とドアをできる限り垂直に近づけることで、広く使いやすい居住空間を確保。圧倒的な開放感と高い空間効率を両立している。

構造美と実用性、その両方を追求したJakeLahを象徴するシェルターである。

サイズ

直径500×高さ275cm

収納時サイズ

幅75×高さ41×奥行44cm

ポール

DAC MX 19.6mm、MX17.6mm

生地

150D PR PU 2000mm SILICONE

重量

26,470g

カラー

Sand、Dark Green、Forest Green

価格

440,000

J.cot tent 190コットの上に、
自分だけの建築空間を

J.cot tent 190

コットの上に成立する、一人だけの居住空間を追求して生まれたモデル。

Helinox Cot One Convertibleなど、対応する限られたコットサイズの中で快適性を確保するため、壁面をできる限り垂直に立ち上げ、高い空間効率を実現。

一般的なテントとは異なり、入口部分を最も高く設計することで、コットに腰掛けた際にも十分な視界を確保。コンパクトでありながら窮屈さを感じにくい居住性を最大限に引き出したその設計には、「最小空間の構造美」という思想が凝縮されている。

サイズ

幅190×高さ100×奥行78cm

収納時サイズ

幅55×直径15cm

ポール

DAC NFL9.3 + PF 7.5 ALL BLACK

生地

3 Layer Fabric(フロア:70D N/T PU 2,000mm)

重量

2,270g

カラー

Teal Green、Dark Green、Forest Green、Sand、Black、Golden Yellow、Multicam、Multicam Black、Multicam Arid

価格

99,000

フレーム構造が生む、4つの空間体験

ラ・ジェゴン氏は、JakeLahを単なるアウトドアブランドとは考えていない。ブランド名そのものが自身の名前であるように、JakeLahは一人の設計者の思想や挑戦とともに成長していく存在だという。

彼がプロダクトを通じて目指すのは、自然の中でも都市での暮らしの延長のように過ごせる空間をつくること。そして雨や風、強い日差しを気にせず、人が集い、学び、語り合い、時間を共有できる場所をつくること。

そのためにJakeLahでは、テントや大型シェルターだけでなく、チェアやテーブル、コット、ランプシェードといった空間を構成するプロダクトも手がけている。すべては、理想とするアウトドア空間を形にするためだ。

撮影:渡辺昌彦
JakeLah