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  2. シルバーギア特集
いよいよ気になってきた シルバーギア 開拓者に聞くデザイン哲学

近年感度の高いキャンパーが注目しているのが、ステンレスの質感を生かす“シルバーなギア”。そのクリーンで洗練された佇まいは、機能美と使い続けることで深まる存在感が魅力だ。

そこで今回は、それらの筆頭とも言えるブランド「TaG.」と「IN FROM AROUND」にフォーカスして、ミニマルな造形の裏にある思想とモノづくりの哲学を紐解いていこう。

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センスがイイ人だけが知っている一歩先の
シルバーなスタイル

シルバーのテーブルと焚き火台

「神は細部に宿る」
かの有名な近代建築の巨匠ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエが残したデザイン理念だ。その真意は、装飾ではなく構造と素材そのものの美しさを引き出すこと。

いま感度の高いキャンパーを中心に、静かに注目されているステンレスを主素材とした“シルバーなキャンプギア”も、まさにその理念の延長線上にあるのではないだろうか。

焚き火台とキャンプサイト

それに注目される理由は、単なる見た目の新鮮さだけではない。

ステンレスは耐食性・耐熱性・強度に優れ、アウトドアという過酷な環境でも長く使い続けられる実用性も備えており、しかも使い込むほどに細かな痕跡が刻まれ、表情豊かに変化していく点も琴線に触れているはずだ。

さらに、今回深掘りする「TaG.」や「IN FROM AROUND」のように、家具や工業製品を手がけてきたプロダクトデザイナーといった、異ジャンルのクリエイターが多く参入しているのも見逃せない。

彼らは用途を超えた普遍的な造形を追求。
アウトドアと日常を隔てずに捉える視点こそが、これまでにない新しいキャンプギアの価値を生み出しているというわけだ。

森の中のキャンプサイト。黒いチェアやシルバーのテーブル等
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TaG.とIN FROM AROUNDに聞くキャンプギアに描く
デザイン哲学とは

なぜ彼らのギアは、これほどまでに美しく機能的なのか。
その答えは、ブランドが貫くデザイン哲学にあった。
TaG.とIN FROM AROUNDが考えるアウトドアとの関係性、
そしてプロダクトに込めた想いを、両者による対話を通して紐解いていく。

シルバーのテーブルと焚き火台の俯瞰図

TaG. (Think about Green.)

プロダクトデザイナーとして活躍する樋口氏が手がけるブランド。
金属の質感を活かしたミニマルな造形と、拡張性が特徴。
アウトドアと日常を横断するボーダレスな道具を志向し、流行に左右されないロングライフデザインを追求する。

TOC.

IN FROM AROUND (IFA)

大手デザインオフィス出身のプロダクトデザイナー・西川氏が手がけるブランド。
“周辺から中心へ”という思想のもと、既存の枠組みにとらわれない視点でニュースタンダードを提示。実験性と普遍性を備えたプロダクトが特徴だ。

IFA

本当に必要なものを、
今までにない切り口で

──まずはお互いのブランドをどのように見ていますか?

TaG.:IN FROM AROUND(以下IFA)はプロダクトデザインの切り口が、誰よりも一歩先を行っている印象ですね。焚き火台やゴミ箱も、自分では思いつかない発想で設計されている。

IN FROM AROUND(以下IFA):思想はそれぞれ違うけれど、モノづくりに対する姿勢に共感しています。それにTaG.はビジュアルコミュニケーションが抜群にうまい。世界観の作り込みが本当に素晴らしい。

シルバーテーブルの側面のノブ部分の拡大TaG.のScenery table/topは、別売りのバーナープレートなどと連結することでファミリーでも快適に使える広さに。人数に応じて無限に連結することも可能だ。

──それぞれにとって「アウトドア」とはどんな存在でしょうか?

TaG.:僕にとっては“リセットの場”ですね。自然の中では五感が刺激される。考えていたことに良い意味で集中できなくなる感覚があって、結果的に頭がリセットされる。TaG.を始める以前は純粋にそのための時間でしたが、いまはフィールドテストや撮影もあるので、癒しだけのキャンプは減りましたが(笑)。

IFA:それ、めちゃくちゃわかります。私はもともと屋外で遊ぶのが好きで、バイクもスノーボードもサッカーも全部外。キャンプはその延長でした。でも次第に“秘密基地を作る感覚”にハマっていった。家ではできない、自分だけの世界を自然の中に仮設する。その感覚がたまらないんです。

TaG.:まさにキャンプは“秘密基地の大人版”ですよね。誰にも邪魔されない空間を作る。それが醍醐味だと思っています。

焚き火台のシルバーのハンドル・取っ手部分の拡大IFA Firepitの造形の一部としてデザインに組み込まれているハンドル。軽量な火ばさみや小型のトング、レザーグローブなどをハンギングすることもできる。

──アウトドア体験はデザインに影響していますか?

IFA:むしろもともと自分が持っていたデザインに対する感覚は、キャンプ業界ではあまり一般的でなかったと感じています。だからそれを持ち込んだら何が起きるか、半分実験のような気持ちで取り組んでいます。

TaG.:キャンプって不便な環境に自ら飛び込む行為ですよね。物が少ない中でどう豊かに過ごすかを考える。その体験が、“本当に必要な物とは何か”を考えるきっかけになっています。僕は「これは必要ないと思う物を作りたくない」と決めています。

IFA:デザイナーという人種は、制約が多いほど燃えるんです。サイズ、設営時間、重量や使用用途など... その中で機能的で美しい物を作る。IFAでは特に“いままでにない切り口”を意識しています。焚き火台をテーブルに擬態させたのも、そこからです。

TaG.:デザイナー視点でIFAのプロダクトを見たときに、その切り口の発想に感動を覚えました。尖ったコンセプトなのに、その造形は誰もが納得する美しさに仕上がっている、それは本当にすごいことです。

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ミニマルの先にある余白と、
シルバーへのこだわり

──ブランドのデザイン思想をズバリ教えてください。

TaG.:基本はミニマル。ただ私は機能を盛り込みすぎる癖がある(笑)。でもキャンプ用テーブルは体験の質を左右する道具。なので、どんな状況にも対応できる設計を目指しました。それと同時に、説明しすぎない“余白”も大切にしたいんです。

IFA:コンセプトを際立たせるために、造形を極限まで簡略化する。装飾を削ぎ落とせば“本質”だけが残る。結果的にミニマルになると思っています。焚き火台だけどテーブルとしても使える。想定外の使い方が生まれる余白は歓迎です。

マルチなテーブルトップとして設計TaG.のScenery table/topは、幅広いシーンに対応できるマルチなテーブルトップとして設計。そのためシェラカップやランタンなどを各所につり下げられる機能も付与された。

──驚いた想定外の使い方はありますか?

IFA:焚き火をしない方が“食器棚”として購入してくれたこと。予想外の使い方でうれしかったですね。

TaG.:うちのアイテムは想定内に収まることが多い。それは今後の課題かもしれません。

──シルバー(ステンレス素材)に辿り着いた理由は?

TaG.:自宅で使っている業務用キッチンがきっかけです。タフで手入れがしやすい。さらにステンレスは周囲の光や景色を映す特性もあるので、それがすごく美しいと思ったんです。その特性はScenery tableという名前の決め手でもありました。

IFA:IFA Firepitは、自然やキャンプサイトの周囲になじませたいという発想から選んでいます。象徴的な焚き火台ではなく、風景に溶け込むような存在にしたかったし、鏡面仕上げではなく、空の青さや自然の緑などの光を柔らかく取り込む表面処理にこだわりました。

テーブルの一部を凹ませたようなスタイルで火床を設けたIFA Firepitテーブルの一部を凹ませたようなスタイルで火床を設けたIFA Firepit。平面天板を片側に寄せて調理器具などの置き場を広げることも可能だ。
ランダムな微細な円弧模様を研磨で施したバイブレーション仕上げIFA FirepitはSUS430ステンレス素材の表面に、ランダムな微細な円弧模様を研磨で施したバイブレーション仕上げを採用。傷が目立ちにくく光沢を抑えた風合いだ。

──プロダクトデザインで最後まで悩んだ部分はありますか?

IFA:コンセプトである“テーブルに擬態する”という、そのテーブルらしさを演出できるサイズ感や、使う薪の長さ、そして車載性。そのバランスですね。天板を重ねて小さな幅に収納するアイデアを考えたとき、どれぐらいコンパクトにできるかを最後まで考えました。

TaG.:私はテーブルの裏面構造です。表から見えない部分ですが、ほとんどの機能が詰まっているので、少ない要素で無駄なく機能を満たすためにはどうするかと、半年以上考えていました。あとは研磨の仕上げ。美観とコストのバランスには本当に悩みましたね。

TgGのScenery table/topTgGのScenery table/topは、大分県の板金加工工場で一点ずつ職人の手により磨かれており、光を柔らかく反射し、シックで上品な雰囲気を生み出している。
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トレンドの先に、
普遍をつくる

IFA Firepitには両脇から薪を焚べられる構造を採用IFA Firepitには両脇から薪を焚べられる構造を採用。また、天板同士の隙間から燃焼のための適度な空気を取り込みつつ、灰が地面に落ちにくいデザインも施されている。

──現在のアウトドア業界をどのように見ていますか?

TaG.:一過性のトレンドを意識したプロダクトも増えている印象です。だからこそ、自分の作る物も“その一つ”として見られていないか常に気になります。でもそんな潮流にこそ、インドアとアウトドアを越境する普遍的な道具に価値を感じてしまいます。

IFA:ブランドも増えてスタイルも細分化しました。でも私が目指すのは普遍性。ブランド名の“IN FROM AROUND”には、周辺から中心へ、次なるスタンダードへという意味を込めています。

TaG.:どんな環境でも機能する道具を設計するのは本当に難しい。特定用途に特化する方がずっと簡単ですから。だから状況を選ばずに長く使える物こそ、本当にいい道具だと思うんです。自分のプロダクトも、時間をかけて長く愛される存在になってほしいと強く願っています。

IFA:実験的な試みを重ねながらも、最終的には時代を超えて残るプロダクトに。まさに“長く愛されるデザイン”を目指すところですね。

Snow PeakのフラットバーナーなどのIGT規格のギアを、中央カバーを取り外してレイアウト可能Snow PeakのフラットバーナーなどのIGT規格のギアを、中央カバーを取り外してレイアウト可能。カバーは付属のワイヤーハンガーでつり下げられる。

──最後にユーザーへのメッセージを。

IFA:誰かが持っているから好きではなく、自分がなぜ好きなのか、魅力を感じるのかを考えてほしい。その解像度が上がれば、ギア選びはもっと楽しくなるはずです。

TaG.:素材の背景や機能を知れば、愛着はより深まります。ステンレスが実はリサイクル率80%の素材だと知るだけでも、見え方は変わる。プロダクトを通して、そんな気付きを届けられたらうれしいです。

IFA:裏側を知るとより好きになる。まさにそれですよね。

TaG.:本当に、そう思います。

あなたのキャンプでも美の追求を TaG./IN FROM AROUND
ベスト・バイな
ハイエンドギア

[ TaG. | Scenery table / top ]

TaG./IN FROM AROUNDTaG./IN FROM AROUND
TaG./IN FROM AROUND

Specification

size:
W640×H420×D20mm

weight:2.8kg

material:SUS304

price:¥34,100 税込

専用LegまたはHelinoxのタクティカルテーブルMの脚を装着して使う、
耐熱性・耐食性に優れたSUS304ステンレス製のテーブルトップ。
職人の手仕上げによる表面の美しい光沢は自然の景観を柔らかく映し込み、
使い込むほどに独自の表情を深めていく。
ソロから複数人まで対応する拡張性の高さと、
長く使える堅牢さを備えたプロダクトだ。

[Editor's Recommendation]

バーナー使用時に置き場所に困るカバー(中央の天板)は、付属のワイヤーハンガーを使えばつり下げて空間効率を高めることも可能で、利用シーンに応じた柔軟な使い方ができる。

TaG.  Scenery table / topの詳細はこちら arrow

Other recommended items

TaG. Side frameTaG. Side frame
TaG. Burner plateTaG. Burner plate
TaG. LegTaG. Leg

Scenery table/topの機能を拡張する3つの専用パーツもリリースされている。

ツールをつり下げて作業性を高める“Side frame”、調理空間を美しく拡張する“Burner plate”、そしてテーブルを自立させ設置自由度を広げる“Leg”。これらを活用すればさまざまなシーンに応じて柔軟に構成を変えられるというわけだ。

[ IN FROM AROUND | IFA Firepit ]

IN FROM AROUND | IFA FirepitIN FROM AROUND | IFA Firepit
IN FROM AROUND | IFA Firepit

Specification

size:
W734×H293×D340mm

weight:5kg

material:SUS430、SUS304

price:¥69,000 税込

一般的な焚き火台とは一線を画す、
“テーブルに擬態する焚き火台” をコンセプトに
フレーム+複数の天板の集合体としてデザインされたプロダクト。
SUS430ステンレスを主に用い、耐久性と質感を両立。
バイブレーション仕上げで上品な光を放ち、
自然光の変化に応じて豊かな表情を見せる。

[Editor's Recommendation]

組み立てはフレーム脚を開き、溝に天板をはめ込むだけとシンプル。付属の収納バッグはフレーム側と天板側の2分割構造で、車載時やメンテナンス時の取り扱いも考えられている。

IN FROM AROUND  IFA Firepitの
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Other recommended items

IN FROM AROUND IFA DustboxIN FROM AROUND  IFA Dustbox

いつもそばに置きたいけれど存在感は消したい…。そんなアウトドア用ゴミ箱の理想から生まれたプロダクト。ソロからデュオキャンプの1泊分のゴミを無理なく収められる直方体のコンパクトなサイズ設計。ミニマルなデザインと使い勝手の両立によって、アウトドアだけでなく日常空間でも違和感なく調和する。

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撮影:渡辺昌彦